Laparoscopy 腹腔鏡(硬性内視鏡)
腹腔鏡を使用した避妊手術は、傷が小さく痛みも少ないため、
日帰り手術でおこなうことができます。
腹腔鏡を使用した手術はお腹を大きく切らないので動物への負担が少なく、痛みも最小限に抑えられます。また、周りの臓器に負担をかけず、安全に摘出することができます。人間の医療では腹腔鏡手術は広く浸透され、応用されている手法ですが、動物での使用はまだ歴史が浅いのが実状です。
腹腔鏡手術を始めとする内視鏡手術は動物に負担の少ない手術(低侵襲手術)と言われており、プリモ動物病院では内視鏡治療に対応することで動物達のQAL(Quality of Animal Life)向上に努めております。
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白畑 壮 しらはた そうプリモ動物病院 相模原中央 院長
- 学 歴
- 麻布大学獣医学部獣医学科卒業
- 専門分野
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歯科・口腔外科、泌尿器科、
エキゾチックアニマル
内視鏡とは
- ▼ 軟性内視鏡
- ▼ 硬性内視鏡
内視鏡とは、先端にレンズのついた管を口または肛門から挿入し、胃や小腸・大腸などの消化管の状態を観察することのできる医療機器です。体内へ挿入する部分が柔らかく曲がる軟性内視鏡と、硬い筒で構成され、腹腔内臓器の治療などに使用する硬性内視鏡があります。外側から診ることのできない身体の中を、動物の症状や検査をしたい部位に応じて、軟性鏡と硬性鏡を使い分けて診断・治療します。
プリモ動物病院では、誤食時の異物摘出や消化器官の病理組織検査などで軟性内視鏡(消化器内視鏡)を、避妊手術の負担を軽減する目的で硬性内視鏡(腹腔鏡)を用いた医療を行っております。
消化器内視鏡については、下記ページをご覧ください。
腹腔鏡手術のメリット(避妊手術)
1. 従来の手術よりも小さな傷で済む
従来の手術であれば大きくお腹を切らなければならないところ、腹腔鏡手術であれば5~10mmほどの小さな傷2つで済ませることができます。腹腔鏡手術の最大のメリットは、傷が小さく痛みが軽くなることから、動物の体への負担が少なく、術後の回復が早いことです。
- ▼ 開腹時の術創
- ▼ 腹腔鏡手術の術創
2. 合併症が起こりにくい
腸などの他の臓器に直接触れないため、胃腸の動きの回復が早く、周辺組織との組織癒着もしにくくなるため、腸閉塞などの術後合併症などが起こりにくいのも特徴です。
開腹手術の場合、細胞レベルでの痛みや周囲血管への微細なダメージが発生しています。
術中は麻酔が効いているため痛みはありませんが、術後しばらくは体に痛みが残ってしまいます。
そのため、数日間は抗生物質や痛み止めの服用が必要になります。
3. 感染症リスクが低い
傷が小さいことで感染症のリスクが下がるため、日帰りでの手術が可能です。
手術時・手術後の痛みの軽減について
開腹での避妊手術の痛みは傷の大きさだけではなく、お腹の中からの痛みのほうが大きいと言われています。開腹手術をした際の痛みの原因については様々あります。
- ・手術をするためにお腹の皮膚や筋肉を切ることで痛みが発生する
- ・お腹の臓器を触ることが不快感を起こす
- ・卵巣を切除する際に靭帯組織を引っ張る必要があり、痛みが発生する
腹腔鏡手術は完全に体内で行います。そのため開腹手術のときと違い靭帯組織を引っ張る必要がありません。これによって手術後の痛みや不快感が軽減されると言われています。
この違いは非常に大きく、動物に与える負担(侵襲性)を小さくすると考えられています。
手術時の痛みも軽減されることから、少ない量の麻酔で実施することができ、手術後の覚醒も早い傾向にあります。
腹腔鏡手術のデメリット
腹腔鏡手術は開腹手術よりも手技が複雑になり、難易度が上がります。そのため手術時間も長くなってしまう傾向にあります。当院では飼い主様が実際にご不安なことに関してもお話をお伺いし、安心して手術を受けて頂ける様に担当医が診察時にインフォームシートを活用しご説明させていただいております。ご不明・ご不安な点はお気軽にお伝えください。
腹腔鏡手術の基本手順(避妊手術)

開腹手術と同じように麻酔を行い、毛刈り、消毒を施します。

トロッカーと呼ばれる筒状の器具をお腹の中に留置します。

お腹の中に二酸化炭素ガスを用いて気腹(お腹を風船のように膨らませる)を行います。

トロッカーを介して、内視鏡手術用の細長い内視鏡、鉗子などを挿入します。

モニターに映し出された画像を見ながら手術を行います。

手術が終わったら、気腹を解除し、傷の縫合をして手術を終えます。
料金のご案内
通常の避妊手術の料金 + 22,000円(税込)
対応病院はこちら
その他の専門科診療
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整形外科
犬や猫の骨折・靭帯損傷・関節疾患・椎間板ヘルニアなど、特殊な技術と機材が必要となる治療に関しても、専任の体制で対応しています。
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リハビリ・整形内科
整形内科では、手術回避のための包帯やキャスティング・サプリメント療法・リハビリ・食事指導など、動物たちが日常の生活に戻るために必要なケアを行っています。
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皮膚科
食物アレルギーをはじめとするアレルギー症状、膿皮症や感染症など難治性の症状も含め様々な治療に対応しています。
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歯科・口腔外科
予防歯科から歯石除去・抜歯をはじめ、歯内治療や根治困難な歯科症例まで幅広く対応しています。
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腫瘍科
乳腺腫瘍・リンパ腫・肥満細胞腫などに対し、CT検査や抗がん剤治療など様々な腫瘍に合わせた診断・治療に対応しています。
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腫瘍科
セカンドオピニオンセカンドオピニオンとは、「現在治療されている病院での診断や治療方針について、他の獣医師に意見を聞き、理解を深めること」です。
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日常多く見られる結膜炎・角膜疾患から難治性のドライアイ、角膜潰瘍まで内科的治療だけでなく外科的対処をしなければならない疾患まで対応しています。
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多くは異物の誤飲対応において、内視鏡を使用いたします。開腹手術を行わずに異物を摘出できるため、身体への負担を大きく軽減することができます。
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循環器科
犬の心臓病で多い僧帽弁閉鎖不全症や猫で多い心筋症をはじめ、様々な心臓病に対する治療に対応しています。
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エキゾチックアニマル
うさぎ・フェレット・ハムスターなどの小動物から、鳥類・爬虫類まで診療しています。