Column コラム
犬・猫の尿石症とは?種類・原因・再発予防のためのフードとケア方法

ペットの尿石症は非常に多い病気です。特に大人の猫にとても多く見られ、尿石症予防【FLUTD(猫下部尿路疾患)対応】と書かれているフードも多く販売されています。
「尿石症」といっても、尿石を構成する成分によっていくつかの種類に分かれます。その種類によって、予防法や適したフードが異なることをご存じでしょうか?
今回は、尿石症の種類とその予防方法についてご紹介します。
尿石症の種類
犬と猫どちらも尿石症になりますが、尿石は構成する成分によっていくつかのタイプに分けられます。愛犬・愛猫が尿石症と診断されたら、まず石の種類を確認することが大切です。
主な尿石は次の6種類です。
1.ストラバイト結石
リン酸アンモニウムマグネシウム結石とも呼ばれます。若い猫や雌犬によく見られ、最も一般的な尿石です。アルカリ性の尿でできやすく、顕微鏡で見ると立体的な台形のような形をしています。
2.シュウ酸カルシウム結石
ストラバイト結石に次いで多く見られる結石で、結晶を顕微鏡で見るとピラミッドを2つ合わせたような形をしています。特に高齢の猫でよく見られます。
3.尿酸結石
あまり多くは見られませんが、シーズー・ミニチュアシュナウザー・ダルメシアンなど特定の犬種で発生しやすい傾向があります。結晶は平たい菱形をしています。
4.シスチン結石
透明な六角形の結晶が特徴で、ダックスフンドやヨークシャーテリアなどで見られることがあります。シスチンはアミノ酸の一種で、毛や爪の材料になる成分です。
5.リン酸カルシウム結石
ペットよりも人でよく見られる結石ですが、コッカースパニエルやミニチュアプードルなどの犬でも見られます。
6.シリカ結石
ケイ酸塩結石とも呼ばれ、ゴールデン・レトリバーやジャーマン・シェパードなどに発生しやすいといわれています。
結石ができる原因
尿路結石ができてしまう原因はまだはっきりとは分かっていませんが、結石のできやすさには個体差があることから、何らかの遺伝的な体質が関係していると考えられています。
また、以下のような要因も尿石形成の引き金になることがあります。
・尿を我慢しすぎる
・尿の通過障害(前立腺肥大など)
・細菌性膀胱炎
・内分泌疾患(ホルモン異常)
・代謝異常
どの種類の結石ができるかは、尿のpH(酸性・アルカリ性)によっても変わります。
結石の種類 | 尿の性質(できやすい環境) |
---|---|
ストラバイト結石 | アルカリ性 |
リン酸カルシウム結石 | 中性~アルカリ性 |
シュウ酸カルシウム結石・シリカ結石 | 中性~弱アルカリ性 |
尿酸結石・シスチン結石 | 酸性 |
尿のpHは主に食事内容によって変化しますが、膀胱炎による細菌感染でも変わることがあります。
細菌が尿をアルカリ性に傾けるため、ストラバイト結石ができやすくなるといわれています。
ストラバイト結石の予防フード
猫はストラバイト結石になりやすいため、動物病院では尿を弱酸性に保つ処方食が用意されています。
これらのフードは、ミネラル(マグネシウム・リン・カルシウム)を制限し、結晶ができにくいように設計されています。
市販のキャットフードでも、マグネシウムの含量を減らし、尿を酸性に保つ「ストラバイト対応」製品が多く販売されています。
その他の結石の予防には?
ストラバイト結石を防ぐ低マグネシウム・酸性尿の状態は、実はシュウ酸カルシウム結石ができやすい環境でもあります。
そのため、結石の種類によって適したフードが異なるのです。
シュウ酸カルシウム結石の場合は、カルシウムを制限し、尿をややアルカリ性に保つ処方食が必要です。
このような食事は、必ず動物病院で処方してもらいましょう。
「尿路結石対応」と書かれた市販フードでも、種類に合わないと悪化させる場合があります。
自己判断せず、まずは動物病院で尿検査や結石の分析を受けることが大切です。
再発防止のために
尿石症を再発させないためには、次のポイントを意識して日常管理を行いましょう。
1.獣医師に処方された食事を守り、それ以外は与えない
2.常に新鮮な水をたっぷり飲めるようにする
3.トイレを清潔に保つ
4.ストレスの少ない生活環境を整える
5.頻尿や血尿など膀胱炎の症状が少しでも見られたら、すぐ動物病院を受診する
特に猫はトイレが汚れていたり、砂や場所が気に入らないと排尿を我慢することがあります。
留守が多いご家庭では、トイレの数を増やすなどの工夫をしてあげましょう。
また、ペットの様子が少しでもおかしいと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
おわりに
尿路結石が尿道に詰まってしまうと、尿が出せず命に関わる危険な状態になることがあります。
また、処置や入院はペットにとって大きなストレスです。
一度でも尿石症になった子は、再発しやすい傾向があります。
毎日のケアと定期的な健康チェックで、愛犬・愛猫の快適な暮らしを守ってあげましょう。