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2025年8月28日
犬と猫の病気

犬の皮膚病で最も多い「膿皮症」とは?原因・症状・治療・予防を解説

「ブツブツができて、広がってきて、かゆくなってくる…」といった症状が出る、犬の代表的な皮膚病「膿皮症」は、予防や早期発見が大切です。今回はそんな「膿皮症」について、詳しく説明していきます。

膿皮症とは?

犬の膿皮症は、皮膚に常在している細菌(主にブドウ球菌)が、皮膚のバリア機能が弱ったときに異常に増えて起こる皮膚の感染症です。
細菌性皮膚炎」とも呼ばれ、アレルギー皮膚の乾燥、外部寄生虫、免疫力の低下などがきっかけになることがあります。

膿皮症は、皮膚のどの層に炎症が起きているかによって分類されます。
🔶表在性膿皮症(膿痂疹)
🔶浅在性膿皮症
🔶深在性膿皮症

【表在性膿皮症(膿痂疹)】

皮膚の表面のみに感染している状態です。肉眼で見るとプチっとしたニキビのような小さな膿(丘疹)ができます。病変の色は皮膚の色そのものの場合もあれば、膿が多くたまっているケースでは薄い黄色をしている場合もあります。かさぶたやフケが出たり、かゆみもあります。

【浅在性膿皮症】

細菌の侵入が少し深くなり、毛包(毛の根元)の角質層や毛包と毛包の間の表皮に広がります。肉眼で見た病変部は「表在性膿皮症と同じような病変」と「小さな丘疹がはじけた赤くて丸い病変」が混在しています。毛包が炎症で破壊されると、毛が抜けてしまうこともあります。

【深在性膿皮症】

細菌の侵入が真皮と呼ばれるより深い部分まで及びます。かゆみも強く、かさぶたや出血が見られ、皮膚が部分的に象のように厚くなることもあります。
全身にも影響が及び、熱が出たり、元気がなくなったり、食べていても痩せてきたりすることもある重症の状態です。このような状態になると、治るのに時間がかかります。

膿皮症になりやすい犬種や年齢

どんな犬種でも膿皮症になることがありますが、
①皮膚にシワが多い犬種(ブルドック、パグなど)
②皮膚が脂っぽい体質の犬種(シーズー、コッカー・スパニエルなど)
③アレルギー体質が多い犬種(フレンチブルドッグ、ゴールデン・レトリーバーなど)
これらは、かかりやすい犬種です。

典型的には 0〜2歳 のまだ若く皮膚が弱い時期にかかりやすいのが特徴です。
また、高齢になって内分泌疾患(ホルモンの病気)や肝臓病を抱えた犬にも多く見られます。アレルギーや脂漏体質(ベタベタと脂っぽくなりやすい皮膚の体質)の犬は、膿皮症を繰り返しやすい体質といえます。

膿皮症の症状

最初は表面が小さく化膿しているだけですが、徐々に深くかつ数多くの皮膚トラブルに広がっていきます。
病気が進むにしたがって、かゆみや脱毛がひどくなるのが特徴です。症状は背中やお腹(胴体部分)によく見られますが、幼い犬の場合は下腹部などおしっこで汚れやすい部分にも見られます。
「やたらとかゆがる」「皮膚にブツブツや円形病変が出ている」ときには、すでに脱毛が始まっていることが多いです。

膿皮症の原因

湿気や汚れ、かゆみによる掻き壊しなどで細菌が繁殖しやすくなり、小さな傷口から角質内に侵入して皮膚にトラブルが起こります
根本的な原因が特定できないこともありますが、アレルギーや内分泌疾患が背景にあると膿皮症になりやすくなります。
細菌が増殖して産生される物質が炎症を引き起こし、滲出物(体内から出る分泌液。浅い傷口からしみ出る透明の液体)がさらに細菌の栄養となることで悪循環となり、症状が重くなることもあります。

膿皮症の検査方法

膿皮症とよく似た皮膚病には、皮膚糸状菌症(カビによる皮膚病)、ニキビダニ症、疥癬症などがあります。
これらを区別するために、毛を抜いたりフケを集めたり、皮膚表面の細胞を顕微鏡で観察したりする検査を行います。
膿皮症と他の皮膚病が合併している可能性が高い場合、血液検査や皮膚病理検査が必要になることもあります。

膿皮症の治療方法

診断がついたら、抗生物質を投与する治療が一般的です。投与期間は2週間以上に及ぶことがほとんどです。
多くの皮膚科医の経験によると、長めの投薬期間が必要と考えられています。短い投薬期間ではすぐに再発するケースが多いからです。
軽症の場合や部分的な場合は、シャンプー療法のみ行うケースもあります。特に幼犬で小さな病変の膿皮症は自然と治る場合もあります。他の皮膚病を合併している場合は、両方の治療を並行して行います。

膿皮症の予防方法

膿皮症は、「細菌の増えすぎ」によって起こるため、皮膚を清潔に保ち、皮膚バリアを守ることが予防の基本です。
これらの部位は常に清潔にしておきましょう。

🔶尿で汚れやすい下腹部
🔶食べ物で汚れやすい口の周り
🔶分泌物などで汚れやすい部分(陰部の周囲や内股)

また、全身をよくブラッシングしてあげて皮膚の風通しを良くしておきましょう。雨に濡れたあとやシャンプー後は十分に乾かすことも大切です。

このように、皮膚を常に清潔に保つことや、高温多湿にならないように環境を整えてあげることが、膿皮症の予防には非常に重要です。

おわりに

膿皮症になりやすい犬は何度も繰り返す傾向があります。先ほどご紹介したような予防を心がけると共に、早期発見・早期治療を意識しましょう。早期に病気を発見して早めに治療を開始することが、投薬期間や治療期間を短くすることに繋がります。そのためには飼い主さんが日頃からペットとよくコミュニケーションを取りながら、毎日全身をよく見て、よく触ってあげることが大切です。

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