Column コラム
シニア猫の介護とケア|高齢猫に多い病気と予防法

近年、飼育環境の改善や獣医療の進歩によって猫の寿命は大幅に延びており、20歳近くまで元気に過ごす猫も珍しくなくなりました。
大切な家族である愛猫がシニア期を迎えても快適に暮らせるように、飼い主さんにできることはたくさんあります。
今回は、高齢猫に多い病気や、日常のケアについてご紹介します。
シニア期に多い病気とサイン
猫も年齢を重ねると人と同じように「老化」が起こり、体にさまざまな変化が現れます。
✅ 食欲があるのに痩せてきた
✅ 水をたくさん飲むようになった
✅ トイレの失敗が増えた
✅ 夜鳴きをするようになった
こうした変化は単なる加齢ではなく、病気のサインかもしれません。
●体重が減る
甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、糖尿病など
●水をよく飲む/尿が増える
慢性腎臓病、糖尿病など
●夜鳴きや落ち着きがない
認知機能の低下、不安、甲状腺機能亢進症など
●トイレの失敗
関節炎でトイレに行けない、認知機能の低下など
猫は不調を隠すのが上手な動物です。普段の生活の中で少しでも変化を感じたら、早めに動物病院で健康チェックを受けることが大切です。
シニア期のケア【食事】
高齢猫では「慢性腎臓病」が特に多く、腎臓への負担を減らすための食事管理が重要になります。
●腎臓病予防や進行を遅らせるために
・タンパク質やリンを制限した療法食を利用
・水分をしっかり摂れるように工夫(ウェットフードやぬるま湯をかける)
●食欲が落ちているとき
・フードを人肌程度に温めて香りを強くする
・少量を何回かに分けて与える
サプリメントとしては、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)や抗酸化物質(ビタミンE、C、コエンザイムQ10)が老化予防や病気のサポートに用いられることがあります。必ず獣医師に相談して取り入れるようにしましょう。
シニア期のケア【運動と環境】
猫は犬と違って散歩には行きませんが、室内での環境作りがとても大切です。
●関節炎への配慮
・段差を減らすためにステップやスロープを設置
・お気に入りの高い場所へも無理なく行けるようにする
●認知機能の低下予防
・おもちゃで遊ぶ時間を作る
・声をかけたり撫でたりして刺激を与える
●運動不足防止
・1日数回、短い時間で遊びを取り入れる
・太りすぎないよう体重管理を徹底する
シニア期のケア【床ずれ・寝たきり対策】
猫は犬に比べて寝たきりになることは少ないですが、重度の病気や老化で動けなくなることもあります。
・柔らかいベッドや毛布で体を支える
・体位を変えることで床ずれを防ぐ(2〜3時間ごとが目安)
・排泄の失敗がある場合はこまめに清潔に保つ
シニア期のケア【グルーミング/日常ケア】
高齢になると自分で毛づくろいが不十分になるため、飼い主さんのサポートが必要です。
●ブラッシング
毛玉防止や血行促進の効果があります。特に毛の長い猫は毎日少しずつ行いましょう。
●爪切り
活動量が減ると爪が伸びすぎて肉球に刺さることもあるため、定期的にケアしましょう。
●シャンプー
基本的に猫はシャンプーをしなくても大丈夫ですが、汚れやニオイが気になるときは部分的に拭いて清潔を保ちましょう。特にお尻周りは汚れがつきやすく、そのままにしておくと皮膚の炎症やニオイの原因になることがあるため、こまめにチェックしてあげることが大切です。
おわりに
猫は人より早く歳をとり、やがてシニア期を迎えます。高齢期の変化をすべて老化のせいと思わず、病気のサインである可能性も考え、注意深く見てあげることが大切です。
若い頃からの健康診断やケアの積み重ねが、シニア期を穏やかに過ごすための大きな支えになります。
そして、介護が必要になったときも、一人で抱え込まずに獣医師や専門スタッフに相談してください。
愛猫が最後まで安心して暮らせるように、日々の小さな変化に寄り添いながらサポートしてあげましょう。