Column コラム
犬の混合ワクチンの基礎知識 《接種の理由と予防できる病気》

「混合ワクチン」とは、犬同士でうつる伝染病のうち、ワクチンで予防できる複数の病気を1本の注射でまとめて予防するためのワクチンです。
特に犬の飼い主さんではペットが同伴できる施設やドッグランなどで提示を求められることが多いため、毎年必ず接種されている方も多いと思いますが、なぜ接種が必要なのか・どんな病気を予防することができるのかご存知でしょうか?
今回は混合ワクチンを毎年接種する理由と、ワクチンによって防げる病気についてお話します。
混合ワクチンの効果
プリモ動物病院では「6種混合」「8種混合」「10種混合」があり、数字が多いほど予防できる病気が増えます。
予防できる主な病気には以下のようなものがあります。
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ジステンパー
非常に感染力の強いウイルス性疾患で、発熱、咳、鼻水、食欲不振、神経症状(けいれんやふらつきなど)を起こし、死亡率も高い危険な病気です。一度かかると回復しても後遺症が残ることがあります。 -
パルボウイルス感染症
強い嘔吐や激しい血便を引き起こす病気で、特に子犬では数日で急死することもあるほど恐ろしい感染症です。ウイルスは非常に強く、土や物の表面に長期間残るため、消毒も難しいです。 -
犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)
肝臓や腎臓、目などに障害を起こします。発熱、腹痛、黄疸、目の混濁(ブルーアイ)などが見られ、急速に重篤化することもあります。 - 犬アデノウイルス2型
呼吸器に感染し、気管支炎などを起こします。これもケンネルコフの原因の一部となります。 -
犬パラインフルエンザウイルス
咳やくしゃみなどの呼吸器症状を引き起こし、ケンネルコフ(犬の風邪)の原因のひとつです。集団飼育やドッグランで感染が広がりやすいため、予防が大切です。 -
レプトスピラ症
細菌による感染症で、主に野生動物の尿などによって汚染された水や土壌と接触することで感染します。発熱、嘔吐、黄疸、腎障害などを起こし、重症化すると命に関わることも。人にも感染する「人獣共通感染症」であるため、飼い主さんの健康のためにも予防が重要です。
なぜ接種が必要なの?
犬の感染症には、自然治癒が難しく、命に関わる病気が多く含まれています。特に子犬や高齢犬、体力の弱った犬は重症化しやすく、発症してからでは手遅れになることもあります。
また、これらのウイルスや細菌は空気中や地面、他の犬の排泄物など、身近なところに潜んでおり、どれだけ気をつけていても完全に防ぐことは難しいのです。ワクチンを接種することで、万が一感染しても症状を軽く抑えられたり、発症そのものを防ぐことができます。
まとめ
混合ワクチンは、犬の命を守る最も基本的で大切な予防医療です。大切な家族である愛犬が、病気に苦しむことなく元気に暮らしていけるよう、ワクチン接種はぜひ前向きにご検討ください。
また、「何種を打てば良いのかわからない」など迷われることがあれば、ライフスタイルを伺いながら適したワクチンをご提案できますので、お気軽に獣医師にご相談くださいね。