現場と運営部門を繋ぐ獣医師がいるということ

現場と運営部門を繋ぐ獣医師がいるということ

飯田:早速ですが、現場部門の一人として経営本部に現場の声は活かされていると感じていますか?多くの企業病院と呼ばれているところでは、そのあたりが獣医師のストレスにもなっていると聞きますが・・・。

川野:現場と経営本部の温度差が、スタッフのモチベーションの低下に繋がるケースが多いのは言うまでもないと思います。ただ、プリモの場合、私のような現場の一人でありながら経営に関わっているというポジションの者がいますから、その点では「現場の声を届けるルート」が確保できています。

よく「プリモグループの理想の姿は?」と聞かれますが、そのとき私はいつも「現場の率直な意見が“希釈”されることなくダイレクトに経営本部に届いて、本当の意味で風通しよく“動物たちと飼い主様のための”意見交換が行われ、それが現場に還元されるシステムが出来上がっている姿」と答えています。そうでなければ、現場と経営本部を分業するメリットはないと思います。

ミスタードーナツとモスバーガーが業務提携を結び、「パネル世界一」のシャープと「テレビ世界一」のソニーがタッグを組みました。それと同じようにお互いが関わりあう意味をちゃんと考えなくてはいけないんだと思います。近い将来、ペット業界においても業界再編の波が押し寄せることはほぼ間違いないと思います。これからますます、経営本部と現場部門を分けることのメリットが重要視され、検討されていくかもしれませんね。

飯田:よく先生は「チーム医療」という言葉を使いますよね。「チーム医療」の重要性をどのように捉えていますか?

川野:私はずっと野球をやっていたので野球で例えさせてもらいますが、例えば、投球過多による先発投手の故障を防ぐための継投。あれはチームワークの重要性をよく物語っていると思います。6回まで先発投手が投げ、7回は中継ぎ投手が繋ぎ、8回にセットアッパーが登場し、9回の1イニングをストッパーが投げる。まさに「チームの力を最大化させる分業の形」だと思います。これはつまりチームプレーによる「勝利の方程式」であると思います。

医療と野球を同じ土俵で論じることはナンセンスだとは思いますが、医療も野球もチームプレーが大切だという観点で考えると共通していると思います。

まず第一に必要となるのが、スタッフ同士のコミュニケーションで、その為には、チームのメンバー1人1人が尊重され、自由に自身の意見が環境を整備することが大切になります。

そしてもちろん高い専門性とスキルを身につけた獣医師の存在が重要です。これはチーム医療の優位性に対するキーファクターとなります。明確なゴールを掲げ、情報を共有しながら、全体的なレベルアップに繋げることは、結果的に経営においても重要なこととなります。「チーム医療」は単に医療の質を高めるだけでなく、チーム協業によって医療の幅も広げることに繋がると私は確信しています。

飯田:2008年の3月にプリモグループの4つ目の病院「プリモ動物病院 相模原中央」の院長に就任しましたが、あらためてどんな院長でありたいと思っていますか?

川野:「WBCの時のイチロー」でしょうか・・・。イチロー選手はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でチームをオーガナイズし、相当なプレッシャーの中でも冷静な判断と気迫溢れる“熱い“プレーで全日本を「世界一」に導くのに多大な貢献をしました。医療においても、責任を取るべき主治医が、どのような組織作りとコミュニケーション体制をつくるかによって、ペットオーナーの満足度は歴然と違ってきます。

日の丸を背負うような大きな病院ではありませんが、熱いパッションでチームを牽引し、最強のチームに育つよう最大限の努力をしたいと考えています。

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